『作詞作曲かわら版...音楽都自由区1丁目 004 海老原さん』

作詞作曲自由区のメンバーの皆さんの思いを込めた 音楽エッセイを ご紹介します。

理論的なお話や 新曲紹介 音にまつわる思い出話 音が溢れる日常のお話……を
『作詞作曲かわら版…音楽都自由区1丁目』と題して 不定期でお送りします。
野口義修のエッセイも交えて 盛り上げていきたいとおもいます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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Vol.004 海老原さち子さん ……作詞歴6年! 自由区の大事な仲間です。 『CD付き楽しく学べる作詞・作曲(ナツメ社)』や『歌詞から作曲できるようになる本(リットーミュージック)』にも 彼女の歌詞が紹介されました。

『思い出レコード!』

 

「おとうちゃん、うさぎさんのこえがちっちゃくなってきたよ!」

「よーし、じゃあ さちこと一緒にグルグルするか!」

「うん!」

私は得意げに、レコード盤が回る蓄音機のハンドルに手をかける。

父の大きな右手が私の手に重なってからグルグルすると・・・。

SPレコードのうさぎのダンス

「ソソラ、ソラソラ、うさぎのダンス、タラッタ、ラッタ、ラッタ、ラッタ・・・」

途切れかかった童謡がみるみる元気を取り戻す。そんな何気ないことが楽しかった。当時、父は水戸市内の公務員。自宅が近くだったので私は茶の間の時計が五つ鳴るのを毎日心待ちしていた。

幼稚園児だった私は大好きな父にピッタリくっついて、二歳と三歳の弟たちはいつも母のひざにまとわりついて遊んでいた。レコードから流れる「兎のダンス」「おさるのかごや」「赤いくつ」がお気に入りで、なぜか飽きずに毎日聴いていたような記憶がある。

「おみやげだよ」と父は、童謡のレコードやビスケットをマメに買ってきてくれた。

「『いってらっしゃーい、おみやげかってきてね』って、三人の子に毎日見送られたら、手ぶらでは帰れなかったみたい」といつか母はこぼしていた。

あの当時にしては珍しい、三十歳のイクメンだったのよね。

金木犀が香る秋になると、なつかしく思い出す家族とのセピアな光景。

「三丁目の夕日」より前の昭和な時代が私の歌好き人生のはじまりだ。

今にして思えば、年子の弟二人と私ではさぞかし毎日が戦場だったはず。なのに両親は、誕生日にささやかなプレゼントと歌を欠かさなかった。あかりをつけましょ、ひな祭り。子供の日にはしょうぶ湯で、十五夜お月さんのすすきとお団子。クリスマスには銀色のくつにバターケーキを添えて。それにちなんだ由来も、歌に振り付けまじりで。

年子の弟が二人もいたのに、喧嘩をした記憶がまったくない私。それだけ幼い頃聴いた歌やイベントには、家族をまとめて笑いを引き出す力があったのだと超実感。

両親の背中をみて大人になった私は、季節ごとのイベントを今も続けている。時間の合わない家族のため強行した真夜中の誕生日会。時には一人ぼっちのクリスマスでホールケーキにかぶりつき、そんなこともあるさ!と自分を励ました夜も。

嬉しい時、へこんだ夜、いつも心の中や、お風呂の中で口ずさんでいる歌・歌・歌!

音楽って昔とちっとも変わらない。今年生まれたばかりの孫は、ipadをなめまわしながら、流れてくる「めだかの学校」「犬のおまわりさん」を喜んで毎日聴いている。古い童謡は聴かせないのかと思っていたけど・・・。

孫達もいつか大人になって、両親がしてくれたお返しに、生まれくる子孫のため歌を聴かせてあげるのでしょう。さ、私も、もうチョットがんばって、生まれきた孫のために童謡でも作ってみようかな!


野口義修より

作詞作曲自由区の仲間、 海老原さんは、お孫さん大好きのアマチュア作詞家。

このエッセイのように、こうやって、親から子 子から孫 孫から子々孫々まで 童謡が伝わっていくのは 素晴らしいことだとおもいました。

また、SP盤の78回転のレコードのシャリショリは、いまや癒しの音ですね!本文中のYOUTUBE動画をご覧ください。
僕も 子供の歌を作っています。
おかあさんといっしょの「そーっと・そっと」、「かけぶとん しきぶとん」、みんなのうた「あいこでしょ」……などなど。

こどもに伝わる歌詞や音楽は、「簡単?」
いやいや 本当に 難しいです。 やり甲斐もあります。 みなさんも ぜひ チャレンジしてくださいね!!


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