寒い日には、童謡を聴き、あるいは歌い……心の底から、ほっこりとしてみませんか?
ボクの著書に、「書いて、彩って、弾いて、歌って 童謡が脳と心に効いてくる」<野口 義修 (著), 野口 琴乃 (著)>があります。
書いて、彩って、弾いて、歌って 童謡が脳と心に効いてくる
長女、琴乃とのコラボレーション本です(2007/2/23刊)。
出版社(ヤマハミュージックメディア)の故小林俊治先生や工藤明純先生、その他編集部の皆さんの応援もあり、まだ若い娘をイラストレーターとして起用して頂けました。 → 琴乃のサイト
童謡の歌詞には、字句通りの表の意味/掘り下げた裏の意味/作者だけの意味/聴き手だけの意味……などがあります。
どの解釈が正しいなどはありません。一人一人の感じたままが正解です。
でも、歌詞に込めた作者の想いやチョットした言葉の遊び、時代背景などが分かって来ると、もっと楽しく、深く聴けるようになりますね。この本は、そういう思いで書いたのです。
たとえば、
「ちいさい秋みつけた」 (サトウハチロー/中田喜直)って歌。
ボクは、その歌詞が大好きで、どうしてもこの本で紹介したく……岩手県北上市にある「サトウハチロー記念館」にお電話をし、出版したいからという訳を話して、先生のご家族の方から直接、作詞のサトウ先生の創作時のエピソードなどをお聞きすることが出来ました。
すると、歌詞がさらにリアルに届いてきました。
皆さんも、子供の歌と侮(あなど)らずに、たまには童謡を、いろいろ調べながら、じっくりと聴いてみてくださいね。沢山の童謡の解説書も出ています。
下記に、「書いて、彩って、弾いて、歌って 童謡が脳と心に効いてくる」から、「ちいさい秋みつけた」の部分を引用します。
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秋の歌といえば、真っ先にサトウハチロー作詞、中田喜直作曲のこの歌を思い出す人が多いのではないでしょうか? この詞は、サトウが自宅で書いた詩だそうです。サトウは、寝転がって西日の入る窓ごしに、庭のハゼの木を見ていました。まだ、あおい葉っぱの中に、ほんの少しのまっ赤にもえる葉っぱを見付けたそうです。ハゼの赤い葉と、西日(入日)の赤が溶け合って、きっと、本当に美しかったと思います。そう、それが「小さい秋」誕生の瞬間であったようです。
それから、サトウは、イメージ(想像、思い出)の中で秋を見付けます。ここから歌詞を仕上げていくのです。
子供たちの鬼ごっこ、もずの声、とかしたミルク、ガラスのわずかな隙から吹き込んでくる秋の風……現実と思い出の時間旅行の中で、見付けたいっぱいの「小さい秋」。
クリスチャンであったという母の思い出(サトウが成人の年、母君は亡くなったそうです)も、風見鳥(かざみどり)で表現されています。
季節を見付けて、思い出を重ね合わせて、歌(詞)が生まれたのですね。
さて、この詞の場合、「誰かさん」は、サトウ本人だったのですね。
この歌を歌った我々も、共感の中に同じ秋を感じます。歌は、素敵です。
サトウに、こんな素晴らしい名曲をプレゼントした「はぜの木」は、今、どうしているのでしょうか?
調べていくうちに、岩手県北上市にある「サトウハチロー記念館」の存在を知りました。本来、サトウの自宅があった東京都文京区にあった資料は全て、同記念館に大切に保管されているそうです。
今は、サトウ先生の息子さんとその奥様が大事に大事に、名曲の資料を守っているのです。まさに、名曲の証人ですね。上記のエピソードも、直接、お話を伺うことができました。
では、はぜの木は? とお聞きしました。
「文京区の礫川(れいせん)公園内に移植されて、今でも秋になるとまっ赤に色づいている」そうです。
名曲の証人「はぜの木」も、今後、人々に歌の素晴らしさを伝えていくことでしょう。
はぜの木って、こんなにまっ赤に紅葉します。
「ちいさい秋みつけた (サトウハチロー/中田喜直)」
誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ
すましたお耳に かすかにしみた
よんでる口笛 もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
お部屋は北向き くもりのガラス
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
むかしの むかしの 風見の鳥の
ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ
はぜの葉あかくて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた